ウルトラファインバブル(以下UFB)の定義は、1μm未満の泡です。1~100μm未満はマイクロバブル(以下MB)となります。
MBは、以前から銭湯やスパなどのシルク風呂などで使われていました。
ではこのUFB、MBはどのような特長、効果があるのでしょうか。
ウルトラファインバブル(UFB)の性質
1.小さすぎて見えない(無色透明)
1μm未満といわれてもピンときません。毛髪の太さが日本人平均約700μm(0.7mm)なので1/700サイズで、細菌やウィルスと同じような大きさで肉眼では見えません。
そのため、発見されたのも計測機器が開発されたごく最近で、業界団体の社団法人ファインバブル産業会が設立されてのが2012年、商品化されてきたのはここ5~10年です。
2.マイナス帯電している
UFBはマイナスに帯電しているので陽イオン(+)を引き付ける性質があります。
UFB同士はお互いマイナスに帯電しているので、反発します。
3.泡の内部気圧は約30気圧
UFB周りの水圧と、分子間力・静電気力によって泡の内部の気圧は約30気圧にもなります。
1気圧は1平方センチメートル当りおよそ1キログラムの重さに相当するので、30キログラムですが大きさが1μmなので0.0001となり、3g分の重さです。
約30気圧の泡が破裂するときは破壊力(3g相当)を発揮します。その衝撃によってミクロの汚れを剥がし落とします。
4.泡なのに長期にわたって消えない
- UFBは泡が小さすぎて、浮力がほとんどない
- マイナス帯電同士だから、泡同士がくっつかない
- 陽イオンの殻=マイナス帯電に吸い付く
上記三つの特長により、泡が消えずに長く残ります。
ホースで送ったり、噴霧しても、UFBは残っています。
40度程度までの加熱ならUFBは、殆ど減りません。ただし沸騰すると消えてしまいます。
ウルトラファインバブル(UFB)の効果
UFBには液体中に任意の気体を大量、効果的に溶解、気泡の中に封入できるといった様々な効果を得ることができます。
活用次第では、従来使用していた薬品や化学物質が不要になる可能性もあり、環境配慮面の効果も期待されています。
MB | UFB | 効果 | 概要 |
● | ● | 気体溶解 | 高効率で気泡中のガスを液体に溶かすことができる。飽和度を超えて溶解させることも可能。 |
● | ● | 物理的吸着 | 液中に含まれる物質・微粒子に対して凝集作用を発揮し、フロック形成に寄与する。有用資源の固液浮上分離などに活用することも可能。 |
▲ | ● | 洗浄 | MBが消滅する際に局所的に放出させれるエネルギー(発光、高温高圧、衝撃波など)が付着物質の剥離に効果を発揮する。 |
● | 気体封入 | 各種ガス(O₂、O₃、N₂等)の気泡を液中に長期的・安定的に存在させることで、UFB含有水の機能向上や新しい効果を付与することができる。 | |
● | 生理活性 | UFBは皮膚や根から浸透しやすく、人体では体内血流の改善・体内温度の上昇、植物では成長促進効果などが報告されている。 |
ウルトラファインバブルの期待される5つの実用特性
UFBの実用的な特性が5項目考えられています。
- UFBが水の洗浄効果を高める
- UFBの超微細気泡は、極小のスキマに入り込む
- 抗菌、抗ウイルス作用を発揮
- 農作物・養殖魚の生育促進。水質浄化
- 液体と気体という相反する特性を同時に持った様々な機能水を創出することができる
ウルトラファインバブルの活用事例
農業分野
● 農畜産物の成長促進・収量増加・品質向上
● 鮮度保持
● 液肥
● 生産管理(植物工場など)
全てが大きく育つ
根張り、茎の太さ、実成りの数、実の大きさ全てが大きく育った。
洗浄
● トイレ洗浄
● 生産ライン洗浄
● 塩害対策
● 配管汚れ除去
● ガラス鱗状痕対策
● 洗濯機
● 野菜・食品
漁業分野
● 水産物の成長促進・収量増加・品質向上
● 養殖環境改善
● 鮮度保持
環境
● 土壌浄化
● 地下水浄化
● 工場排水処理
● 汚泥減容化
● 有害物分解
● 藻類除去
● 凝集SSの浮上分離
産業
● 精密剥離
● シリコンウエハー薄膜分離
まとめ
ウルトラファインバブルの産業普及はまだまだこれからです。
一般消費者向けに商品化されているのはシャワーヘッド、洗濯機、化粧品だけです。
それ以外の商品は企業向けに販売されていて、一般の方向けの商品はありません。
今後数年すると新しい商品が出る可能性があります。
コメント