挫折続きのNHK!!8K世界標準化放送実現への道

 皆さん、2020年現在、世界中で8K放送してるのはNHKだけってご存知でしたか。

「ふ~ん、、、そうなんだ。それがどうしたの?」って感じですが、その背景が結構おもしろいんですよ。テレビ放送黎明期から負け続けた「NHKの高画質志向」があり、その執念が8K放送につながっています。

 それでは、順を追ってご紹介します。

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日本初のテレビ放送したのに、放送局認可は2番め!!

NHKテレビ実験放送 引用:NHKアーカイブ

 日本のテレビ本放送は1953年2月1日午後2時にはじまりました。

放送局はNHK東京テレビジョン局だけしかなく、初の民放テレビ局となる日本テレビが放送を開始するのはその半年後の8月28日。

 しかし、面白いことに放送免許が付与された順番は逆で日本テレビが先でした。そこには「6メガ、7メガ論争」と呼ばれる放送技術の戦いが…

 日本のテレビ放送標準方式を決めるに際して日本テレビはアメリカが先行して採用した6メガヘルツの帯域を使うNTSC方式の採用を主張。それに対してNHKは7メガヘルツの採用を求めました。

NHKはブラウン管の原理を発明した「テレビの父」と呼ばれる高柳健次郎博士を擁して、高画質化や将来のカラー放送も視野に入れ、少しでも多くの情報を乗せられる広い帯域を選んで規格化しておくべきと高い理想を展開。そこには7メガ方式が実現すれば放送設備が高価となり、まだ資金的に脆弱な民放というライバルに対し優位に立とうとする思惑がありました。

民放の日本テレビは、6メガ方式であればアメリカから払い下げ設備を割安で入手でき民間でもテレビ局経営が可能なので引き下がりません。そこで「民主化した日本には民営化したテレビ局が必要」というロジックで、アジアの共産主義化を危惧するアメリカの保守系議員や、日本を市場にしたいアメリカのテレビ産業界を味方につけ対抗します。

 そして国会にまで持ち込んで戦ったこの論争は6メガの勝利に終わり、日本のテレビ規格はNTSC方式となったことで、6メガ方式で放送していた日本テレビに放送免許が与えられました。

世界に先駆けアナログハイビジョン放送開始!!

(C)日本民間放送連盟

 7メガで負けたNHKは、高画質化に執念を燃やし続けます。

 1964年 東京オリンピックの全世界中継をNTSC方式で成功裏に終えたあと、高画質化研究を加速させて、1985年つくば万博で大型投射型ディスプレイを用いた「ハイビジョンシアター」を披露し観客を惹きつけました。

 そして、1989年 世界初のアナログハイビジョンの定時実験放送を開始。当時の衛星放送2チャンネル分の帯域を使いNTSC方式の5倍の画素数となる走査線1125本、縦横比16:9の高精細画像でした。

 NHKはこのアナログハイビジョンを世界の統一規格にするべく、欧米で標準化工作を続けました。

 しかし、ここにも対抗する伏兵が現れました。台頭するデジタル技術を背景に、急成長するコンピュータ企業を有するアメリカが、次世代ハイビジョンテレビの開発をデジタル放送方式で行うとし、欧州もこれに追従。その流れには勝てず、日本も放送のデジタル化に舵を切り、敗れたアナログハイビジョン放送は2007年ひっそりと終了しました。

8Kで3度目の正直!!世界標準化に挑戦中

 テレビ放送標準化技術に対して、そのような過去を持つNHKにしてみれば8K放送は3度目の正直で、今度こそ高画質テレビの世界標準を自分たちが主導して作り出す意気込みがあったのかもしれません。

周波数帯がない?!どうする…

 地上波、BS、110度CS放送では周波数をほぼいっぱいに使っていて、ただでさえ帯域が必要な4K・8K放送をする帯域がありませんでした。唯一可能性があったのがBS17帯域で、ここは地デジ各局が難視聴地域対策用で使っていましたが、難視聴対策が進んで使命を終え使用可能になりました。

 しかし、それでも帯域が足りないので、アクロバチックな方法を編み出しました。

それが、「左旋回」。

放送電波は波の振幅が長短、高低かの偏波を使う地上波と、振幅面を回転させる円偏波を使う衛星波があります。衛星波は電離層で反射されるため角度が変わってしまうため、角度が関係ない円偏波を使います。これは、アンテナの形からもわかります。

 円偏波だと、回転の向きを識別するのですが、現在の衛星放送は右回りの右旋回です。これを左回りの左旋回にすると同じ帯域で別の信号を送れます。

しかし、左旋回を使うのは送信側、受信側に新しい設備が必要になります。

2020年現在、8K放送は開始されていますが、ほぼ4K放送と同じ番組です。

受信側のテレビはシャープ、ソニー、LGから数機種発売されています。 

まとめ

 いつの時代も、放送技術では一歩先に行くNHK。

ただ先に進む方向が、世間一般と少し違うように感じます。経済性や流行など気にせず突き進む性格はなかなか変えられないのでしょうか。

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